
理容業に励み二児の父親
中平初恵
高知県
昭和三十四年十二月、二男として生まれた子に祖母が病気をしないようにと「哲夫」と名付けてくれました。
四ヵ月ごろは、呼びかけるとニコニコとして可愛らしく声を出して笑っていました。
五ヵ月ごろ急に高熱が出て近くの病院に行き、ハシカと診断されました。ちょうど長男がハシカで発疹が出ていましたが、哲夫は発疹はなく、「変だな」と思っていました。
二日ほどして熱は三十七度に下がりましたが、目を上に引きつけだしたので、尾木病院に行き診察の結果、脳膜炎と診断され、「今までにこれくらい小さな子供で治った例がない。たとえ治っても身体に障害が残る」と言われました。そのときは、谷底へ突き落とされたような衝撃を受け先生に、「命だけでも助けてください」と頼み入院させました。
「頭を冷やしたらよい」と聞きましたので、一週間ほど夜、昼となく頭を冷やし、ただただ
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